だストレージ
いつもの会話にもう一品。
余剰知識の見本市。

タラピヨ タラピヨ

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昨今のゆるキャラブームの影響もあって、各地・各分野に驚くべき数のマスコットキャラクターが溢れ返るようになって久しい。

火付け役の一人(匹?)である彦根市の『ひこにゃん』や未だ界隈を牽引する熊本の『くまモン』をはじめ、非公式ながら一世を風靡していた船橋市の『ふなっしー』、様々な問題でニュースにもなったが今や定着している奈良の『せんとくん』、子供が泣くことで有名な夕張市の『メロン熊』など、有名どころを並べるだけでもまさしく多種多様という言葉の見本のようである。

「“ゆる”とはなんだったのか」とツッコむ声も今や遠く、もはや「ゆるキャラ」という呼称は元来の意味を失って、単にご当地あるいは企業や団体などのPRマスコットキャラクター全般を指すようになっている。

なっているが、まあそれは多分どうでもいいのだ。
肝要なのは、沢山の人から親しみを持たれ、その所属する場所・物などのPRという役割を結果的になるべく良い形で全うしているか否かだ。そうではないか!

もちろんその為には、色々な要素が必要だ。印象や話題性、アピール戦略などもさることながら、愛らしさやインパクトなどが必要になってくる。

めんたいかわいい

さて前置きが長くなった。
今回のテーマである『タラピヨ』は、それらを持ち合わせていると言って差し支えないキャラクターの名前である。

明太子の製造・販売で有名な老舗企業『かねふく』のマスコットだ。
もちろん明太子がモチーフである。

丸っこいフォルムとつぶらな目、明太子カラーの真っ赤な体が特徴だ。このへんが“タラ”の部分だろう。
超かわいい。

同社のロゴマークが胴体の横に描かれているのだが、これが羽のようにも見え、そしておそらく嘴である小さな突起がある。このあたりが“ピヨ”の部分だと思われる。
超かわいい。

が、いくつかあるイラストを見るに手はきちんとあるので、どうもこの体にあるロゴマークは純粋に模様であり、羽ではないっぽい。

なんだその迫力

兎に角、語彙が低下するくらいには超かわいいのだが、先に述べた通り印象値的な意味でのパワフルさもあるのでその点も紹介しよう。

タラピヨそのものは、まあ言ってしまえば普通に愛らしい真っ当なタイプのゆるキャラなのだが、“見る場所”によってそのインパクトは爆上がりする。

所属であるかねふくは、『めんたいパーク』なる明太子専門テーマパークを茨城・愛知・兵庫・大阪の4ヵ所に展開している。
これだけでも結構な印象強さだが、このめんたいパーク、施設建物の屋上にどーん!と巨大なタラピヨが乗っかっているのだ。

これがまた遠くからでも大変に目立つ。近くに行けば迫力も一入だ。
とりわけ晴天下においては青空を背景に真っ赤なボディが凄まじいコントラストでもって主張してくるので印象強さは抜群である。

東京の浅草あたりを歩いたことがある人は、アサヒビール本社隣にあるビル屋上で輝く金色のオブジェが放つ存在感を思い返して貰いたい。
概ねあのレベルだ。

可愛いながら、大仏もかくやといった神々しさや謎の圧すら感じてしまう。
大阪を除く3ヵ所のパーク屋上で今もニッコリ笑う巨大なタラピヨが鎮座している。※1

好奇と解説のバランス

因みに、他に『タラコン博士』というキャラクターもいてセットで扱われていることが多い。
タラピヨと共に明太子の作り方や歴史、めんたいパークの諸々について解説したり、パーク内の案内などをしているキャラクターで、Webサイト上ではタラピヨと会話もしている。

こちらは別に巨大像が制作されたりはしていない。
が、一部のパーク入口では一緒に写真が撮れる適度なサイズでタラピヨと共に出迎えてくれる。

それにしても、解説役と質問役のような分担を持った「組」タイプのキャラクター案外はよく見かける。

個人的に馴染みのあるところだと、BSジャパンのTV番組『空から日本を見てみよう』の『くもじい』と『くもみ』が連想されるが、昔から“博士あるいは物知り老人と子供”というモチーフは多い気がする。

質問サイドが客やユーザー側に寄り添う形にもなるし会話のテンポも出せるしで展開しやすい等のメリットが大きいのではないかと考えていた。

演歌歌手と明太子の化身

そうだ、かねふくと言えば氷川きよしさんが出演するCMじゃないか!――ということで調べてみたところ、タラコン博士とタラピヨは彼ともコラボしていた。

各めんたいパークのCMがインターネット上でも公式に視聴可能なので是非視て欲しい。
巨大タラピヨ像の前で踊る氷川きよしさんや、アニメーションで愛らしく動くタラピヨちゃんたちを見ることができる。
あと氷川さんの歌うかねふく明太子の歌がやたらカッコいい。流石である。

めんたいパーク大洗コマーシャル 氷川きよしさん – YouTube

ぬいぐるみやストラップも展開しているので、気に入った人は近くのパークを訪ねて、工場見学や明太子の歴史、加工食品などを楽しみつつタラピヨグッズをお土産に加えてみては如何だろうか。

良い意味で明太子の辛いイメージに反した、何とも言えない「和み」をもたらしてくれることうけ合いである。

  • ※1: 大阪のめんたいパークは大阪南港ATC内にあるため屋外に巨大タラピヨは乗っていないが、それでも結構なサイズのものが施設内に存在している。
  • TEXTS & GRAPHIC by

    Yuri Yorozuna
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